サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.81 問題の防止法と対処法 問題が発生する原因

【立ち読み版】2013年1月15日 06:30

問題が発生する原因

■「問題の発端」を考えてみる

サイクリングは一種の中毒です。2つの車輪を使ったこの競技への中毒は、基本的にはよいものです。しかし、時として問題が生じることもあります。

私たちは、レースでよい成績を得ようとあらゆる努力を尽くします。しかし、すべてがうまくいくとは限りません。

その原因は単なる「運」の問題に見ることもありますが、果たしてこれらをすべて「人生は不公平だ」という解釈だけで済ませてよいものなのでしょうか。「問題の発端は、どこにあるのか」を考えてみた方がよいでしょう。

■多くの場合「問題」は自ら招いたもの

「短い時間で体力を高めよう」と欲張ったせいで、オーバートレーニングを起こすこともあります。喉の痛みを我慢して練習して、風邪をこじらせ、5日で済んだところを10日間も練習を休む羽目になることもあるでしょう。自分が無敵の存在になったような感覚を覚えて、重いギアで丘を何度も往復した結果、痛む膝をさすりながら、レースを沿道から傍観する羽目になる場合もあります。

つまり、ごく一部の例外を除いて、私たちがトレーニングやレースで直面する問題は、自ら招いたものなのです。「よい結果を出したい」という意欲が強過ぎると、体の声に耳を傾けられなくなります。その結果、オーバートレーニング、燃え尽き、病気、怪我になることが多いのです。

本章ではこれらの問題の防止法と、防ぎきれない場合の対処法を取り上げます。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。