サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.84 リスクとリターン(3) 練習方法に伴うリスク(ランニングとウェイト・トレーニング)

【立ち読み版】2013年1月18日 06:30

リスクとリターン(3)

■練習方法に伴うリスクとは

「練習方法に伴うリスク」とは、サイクリング、ウェイト・トレーニング、ランニングや水泳といったクロス・トレーニングなど、練習のタイプに関連するリスクです。

■ランニングのリスク

中でも、ランニングは骨と軟部組織に負荷がかかるため、もっともリスクが高くなります。ランニングの練習をし過ぎると、怪我をしやすくなるアスリートもいます。

ただし、慎重に取り入れれば、ランニングで使う軟部組織や骨が長い時間をかけて徐々に強化されるため、特にトレーニングシーズンの序盤で全身の有酸素能力が向上することもあります。

■ウェイト・トレーニングのリスク

ウェイト・トレーニングもリスクの高い練習方法です。体の準備が整う前に高負荷のウェイト・トレーニングをしてしまうと、怪我を起こしやすくなります。私も、ウェイト・トレーニングで無理をし、怪我をしてしまった選手を多く見てきました。

■フリー・バーでのスクワット

ウェイト・トレーニングでも、特にリスクの高いメニューがあります。フリー・バーを使ったスクワットがその代表格です。重たいバーを肩に乗せるのは、ウェイト・トレーニング初心者や、膝や腰に負傷歴のある人、椎間板が衰えている高齢のアスリートにはひじょうに危険です。

しかし、重たいバーを無理なく扱えるのであれば、このスクワットで得られる効果は絶大です。

■低リスクのウェイト・トレーニングの例

これに比べると、レッグ・プレス、ステップ・アップ、ランジは低リスクです。これらは、スクワットとほぼ同じ筋肉群を使います。ただし、リスクが低い分、リターンも低くなります。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。