サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.87 オーバートレーニング 代表的な原因
オーバートレーニングの代表的な原因
■オーバートレーニング曲線
以下の図 は、練習の負荷を上げ続けるとどうなるかを示したものです。
トレーニングの負荷を上げるにつれて、体力も各自の限界まで向上しています。この限界に達してしまうと、それ以上負荷を上げても体力は逆に低下してしまいます。限界以上にトレーニングをすれば、体力は落ちてしまうのです。負荷の高過ぎるトレーニングはやがてオーバートレーニングを引き起こします。
■オーバートレーニングの代表的な原因
オーバートレーニングの代表的な原因として、以下の3 つが挙げられます。
- 練習時間が長過ぎる (時間過剰)
- 強度が高過ぎ、本数が多過ぎる (強度過大)
- 極端な短期間内にあまりにも多くの練習をし過ぎる (頻度過多)
私の経験では、競争心の強いサイクリストによく見られるオーバートレーニングの原因は、強度過大です。ロード・レースは、大まかにいええば、約90% の有酸素運動と約10% の無酸素運動で構成されます。トレーニングには、この比率を反映すべきです。
無酸素運動系のトレーニングを数週間にもわたって集中的に続ければ、確実にオーバートレーニングを起こします。強化期で高強度の練習を合計で6 週間に抑え、その間に2 週間の回復期間を組み込んでいるのはこのためです。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。