サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.90 オーバートレーニング 回復と適応の期間
回復と適応の期間
■疲労を注意深く管理する必要性
私は指導する選手に、「体力のピーク」をつけるためには、負荷を高めていくプロセスと、その結果生じる疲労を注意深く管理しなければならないと伝えています。体力が最適なレベルであれば、疲労に耐え、遅らせることも可能ですが、その期間には限界があります。
以下の図は、トレーニング負荷の増加が、体力をいかに低下させ、オーバートレーニングのリスクに近づいていくかを示しています。
■限界近くまで追い込むのは「希に」する
重要なのは、限界近くまで追い込むのは「希に」し、近づいたらすぐに負荷を下げることです。「希に」というのは4 週間に1 度くらいを意味します。3 週間、高負荷の練習をしたら、回復と適応の期間をとります。
■マスターズや初心者の注意点
マスターズや初心者などは、練習期間を2 週間程度にし、頻繁に回復期間をとる必要のある人もいます。それ以上練習を増やせば、オーバートレーニングのリスクが高まります。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。