サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.92 トレーニングの技術
トレーニングの技術
■限界点がどこにあるかを知る
トレーニングの技術の基本になるのは、限界点がどこにあるかを知ることです。つまり、疲労がたまり、オーバートレーニング寸前になる状態がいつかを把握することが大切です。
若くやる気に満ちたサイクリストや初心者は、ベテラン選手に比べ、この限界点の認識が弱い傾向があります。経験が豊富なコーチの指導のもとでトレーニングをする方がよいのもこのためです。
■体の準備がどの程度できているかを常に評価する
スマートにトレーニングをするためには、体の準備がどの程度できているかを常に評価する必要があります。15章では、トレーニング日誌に毎日記録すべき指標を紹介しました。これらの指標を注意深くたどることで、体が発するメッセージに敏感になれるでしょう。
■オーバートレーニングの最善の予防策
残念ながら、過度の練習によってオーバートレーニングのリスクが高まっていることを判断するための、確実な方法はありません。
最善の予防策は、休養と回復を適切にとることです。1回の練習の中にもハードなものと軽いものがあるように、週単位、月単位でメリハリをつけていくことが必要です。
オーバートレーニングになるよりは、軽めの練習を熱心に続けた方がはるかに大きなメリットがあります。迷った時は、無理をしないことを第一に考えましょう。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。