サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.94 燃え尽き(2) 燃え尽きのタイミング
燃え尽きのタイミング
■8月に燃え尽きてしまう理由
8月までに精神的に消耗してしまうアスリートがいるのは、偶然ではありません。
約220~250日間もハードな練習を休まずに続ければ、多くの選手が燃え尽きてしまうのも無理はありません。12月~1月に本格的な練習を始め、ずっと休みなく練習を続けてきたとすれば、8月に燃え尽きてしまうのは時期的に当然だといえます。
■強化期の適正期間
選手によっては、毎週末にレースに2回出場し、平日にはクラブ・チームでのハードな練習会やBT練習(ブレーク・スルー練習)をします。毎週のように、高強度の練習によって精神的にも大きなストレスがかかります。
このため強化期は、回復週を含めて8週間を超えないようにしましょう。
6週間以上(人によってはそれより短い期間)にわたってオフなしで真剣にレースや練習に取り組む状態が続く場合も、8月に燃え尽きてしまう可能性があります。
■燃え尽きやすいタイプ
燃え尽きてしまいやすいのは、高いレース目標を掲げている熱心なアスリートです。
8月までには、目標を達成できたか、できなかったかがわかります。どちらの場合もレースやトレーニングに対して無気力になる原因になることがあります。
■自転車以外の燃え尽きの原因
自転車以外の様々な状況も、アスリートが精神的に消耗する原因になります。
転職、離婚、引っ越しなど感情面でのストレスも燃え尽きの原因になります。暑さ、湿度、標高の高さ、大気汚染などの環境的要因も意欲に水を差す場合があります。
これらはすべて、栄養不足や水分不足などの食事面での問題により悪化する可能性があります。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。