サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.96 病気(1) 病気にかかりやすいタイミング
病気にかかりやすいタイミング
■運動と病気のかかりやすさについての研究
トレーニングをたくさんすることは、健康増進につながり、病気の予防に役立つと思うかも知れません。実は、そうとは限りません。
頻繁に運動をしている人は、たまにしか運動しない人に比べ、病原体に感染しやすいことがわかっています。
ロサンゼルスマラソンに出場したランナーを対象にした研究によれば、週に60マイル(約97km)以上走る人は、週に20マイル(約32km)未満しか走らない人に比べて2倍も呼吸器疾患にかかりやすいことがわかりました。
また、マラソンを完走したランナーは、練習はしていたものの何らかの理由で完走しなかったランナーに比べ、レースの翌週に病気になる割合が6倍も高かったこともわかっています。
■病気にかかりやすいタイミング
激しい練習やレースの後の6時間は、健康を維持するうえでもっとも重要な時間帯であることがわかっています。免疫系の機能が落ち、病気への抵抗力が弱まるためです。
残念なことに、この時間は移動時間にあたりことが多く、細菌と接触する機会も多くなります。可能であれば、この6時間の間は公共の場に身を置くことは避けましょう。外出しなければならない場合は、頻繁に手を洗い、なるべく手で顔に触れないようにしましょう。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。