サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.106 怪我 機材の調整と設置
怪我
■怪我の悪影響
真剣にスポーツに取り組んでいる選手にとって、怪我ほど嫌なものはないでしょう。体力が低下するだけではなく、アスリートの生活にとって、体の状態は大きな要素を占めているだけに、気分も落ち込みがちになります。
怪我をしやすい人もいます。他の選手と同じような練習をしているにもかかわらず、怪我をしてしまうのです。怪我は煩わしいだけでなく、何度もリハビリを繰り返すことが、選手としてのキャリアに悪影響を及ぼす場合もあります。以下に、怪我をしやすい人向けの怪我予防のためのヒントを紹介します。
■本来はコーチの役目
これらの失敗を防止するのは本来、コーチの役割です。コーチは、選手にちょっとした指導をしてこれらのミスを防ぐことで、レース結果に大きな効果があることを知っています。セルフコーチングを実践するあなたも、これらの失敗を予防することで、よいコーチと同じ役割を果たせるようになるでしょう。
機材の調整と設置
■女性やジュニア選手は特に注意が必要
しっかり整備された機材を使いましょう。自転車のサイズが体に合わなければ、怪我につながります。特に、男性用の自転車に乗ることが多い女性や、成長期の過程にあるジュニア選手は注意が必要です。
■専門家などにポジションのアドバイスを仰ぐ
サイクリストは同じ動作を、負荷をかけながら何百回・何千回も繰り返すので、バイオメカニクス的に問題があると、膝をはじめとする関節を痛めやすいといえます。
適切に機材を整備できたら、自転車ショップのベテラン従業員やフィッティングの専門家、またはコーチにポジションを見てもらい、アドバイスを仰ぎましょう。サドルの前後位置と高さには特に注意してください。
■フィッティングのおすすめ書籍
経験豊富なフィッティングの専門家が近くにいない場合、アンディ・プルット著の『Medical Guide for Cyclists 』が参考になります。この本には、自転車のフィッティングに関する貴重な情報が載っています。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。