トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.38 回復に集中することが、高いレベルのパフォーマンスを手に入れるためにトレーニングでできる最も有効なこと
回復に集中することが、高いレベルのパフォーマンスを手に入れるためにトレーニングでできる最も有効なこと
■選手の回復能力と体力の向上の早さには強い相関がある
マイケル・フェルプスのような選手は練習から素早く回復する能力を持って生まれたため、トップ選手になるのも当然のように思えます。しかし、練習から早く回復する素質がなくても、回復を早める方法はあります。それは本章の後半で説明します。選手の回復能力とその体力向上の速さには、科学的なデータによる裏付けはないものの、確かに強い相関があります。素早く回復するということは、素早く体調が整えられるということに違いありません。
■セルフ・コーチングをする選手が最も間違いを犯しやすい部分
それはなぜでしょうか?体に「フォーム(調子)」と呼ばれる変化があるのは、きつい練習の後、回復している間のことであり、そのフォームによって、レース、またはその後のトレーニングでのパフォーマンスが決まるからです。この変化は、脂肪燃焼酵素の増加、筋肉と腱の弾力性の向上、体脂肪の減少、心拍出量の増加、グリコーゲンの貯蔵能力の向上などをもたらします。きつい練習で体に負荷をかけると同時に、回復に集中することが、高いレベルのパフォーマンスを手に入れるためにトレーニングでできる最も有効なことなのです。しかし、これは、トレーニングのプロセスのうちで、セルフ・コーチングをする選手が最も間違いを犯しやすい部分でもあります。回復に十分時間をかけないため、体が負荷に適応しきれなくなってしまうのです。
■トレーニングプランのどこに回復を組み入れるかが成功の鍵
回復はさまざまな捉え方ができるでしょう。ピリオダイゼーションという点では、7章と8章で作成したトレーニングプランのどこに回復を組み入れるかが、トライアスリートとして最終的に成功するための鍵となります。
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■