トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.61 風邪やインフルエンザにかかってしまった場合に、練習すべきかどうかを判断する方法は?
風邪やインフルエンザにかかってしまった場合に、練習すべきかどうかを判断する方法は?
■首チェック
もし風邪やインフルエンザにかかってしまったら、どうすればよいのでしょうか?いつもどおりに練習するのか、練習量を減らすのか、完全に休むべきなのか。その判断に役立つのが、「首チェック」です。
鼻水、くしゃみ、喉の痛みなど、首から上の症状だけであれば、練習をしても構いません。ただし運動強度はゾーン1か2に下げ、練習時間も短くします。一旦ウォーミング・アップをして練習を始めれば、おそらく気分はよくなると思いますが、もし練習開始後すぐに気分が悪くなるようであれば、練習を止めて早く帰りましょう。
症状が首より下の場合、たとえば胸の風邪(咳風邪)、寒気、吐き気、筋肉の痛み、発熱、粘性痰であれば、練習を始めることさえしてはいけません。このような場合は、急性ウイルス感染症が疑われます。この状態で高強度の練習をすれば、症状が悪化して重篤な合併症が起こり、最悪の場合は死に至ることもあります。このような首より下の症状は、コクサッキーウイルス感染症を併発する場合があります。このウイルスは心筋に侵入して不整脈やその他の合併症を引き起こすことがあります。
■コクサッキーウイルス感染症にやられてしまった体験談
私の体験談をお話しましょう。1994年10月、私は発熱、筋肉の痛み、痰が絡んだ咳など、首より下の症状をいくつも伴った、ひどい風邪を引きました。そして5か月後、心臓が本格的にコクサッキーウイルス感染症にやられてしまいました。それからは回復するのに時間を費やし、まともに練習をすることができませんでした。ようやくトレーニングを再開できたのはほぼ1年後のことです。それからというもの、私は同じような目にあった人たちに何度も出会いました。いかにレースが重要であろうと、また、いかに高い体力レベルが得られようと、このような高い代償に見合うものではありません。症状を軽く見てはいけません。首より下の症状が見られる呼吸器感染では、コクサッキーウイルス感染症を疑いましょう。
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■