トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.70 回復の各段階において適切な対応をれば、より早く、次の質の高い練習にとりかかることができる

【立ち読み版】2013年2月23日 01:10

回復の各段階において適切な対応をれば、より早く、次の質の高い練習にとりかかることができる

■運動の36時間後に、筋組織の修復が完了したという研究事例

回復に必要な時間は、そのほとんどがダメージを修復する筋タンパク質の再合成と関係があります。

マックマスター大学とワシントン大学医学部による研究によって、このタンパク質の再合成には4~5時間かかることが判明しました。研究では、競技経験の豊富な若いウエイト・リフティングの選手に最大努力の運動をさせ、その後の筋肉の修復プロセスを観察しました。筋肉の修復は、練習のほぼ直後から始まりました。そして、この筋損傷を与えた運動の4時間後になると、タンパク質の活性は50%増加しました。これは筋組織の修復がすでに修復されつつあることを示しています。タンパク質の活性は運動の 24 時間後にピークに達し、平常時の109% にまで増加しました。そして運動の36時間後には、タンパク質の再合成が正常に戻りました。これは修復が完了したことを示しています。

■回復のプロセスの3段階

この研究では、回復時間を測定するために疲労困憊に至る筋力トレーニングが用いられていますが、この結果と同様の現象が、レースやきつい練習後にも予想されます。

回復のプロセスは、練習を基準にして、練習前と練習中の回復、練習直後の回復、長期的な回復の3つの段階に分けられます。各段階において適切な対応をとり回復を図る選手は、運動で受けるダメージを最小限に抑え、回復を早めることができます。また、回復の原則を無視する選手よりも早く、次の質の高い練習にとりかかることができます。

 

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■