トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.83 体力の向上をもたらす3つの要素
体力の向上をもたらす3つの要素
■最大酸素摂取量(VO2max)の増加、有酸素運動能力に対する乳酸閾値(LT)の向上、動きの経済性(エコノミー)の向上
今までの章で説明したとおり、持久力、筋力、スピード・スキルという基礎能力と、筋持久力、無酸素持久力、パワーという専門能力を向上させると、レース速度を上げるという目標を達成することができます。
この体力の必須要素を別の観点から科学的な専門用語で表現すると、体力の向上は、最大酸素摂取量(VO2max)が増え、有酸素運動能力に対する乳酸閾値(LT)が高まり、動きの経済性(エコノミー)が向上した結果、ということになります。このうち VO2max(最大努力の運動で体が処理する酸素量)と LT(乳酸が血中に蓄積し始める最大下努力の運動強度)は持久系運動選手には広く知られています。
■伸び悩みの原因としての動きのエコノミーの問題
エコノミーはこの2つほど知られていないかもしれませんが、エコノミーの向上によって、いかに大きな成果が得られるかを理解することは必要です。 VO2maxと LTだけに固執してトレーニングするよりも、エコノミーを含めた3つの要素すべてを向上させるほうが、はるかに大きな収穫があります。実際、マルチスポーツのパフォーマンスが伸び悩む原因としては、体力が開発されていないことよりも、動きのエコノミーに問題があることのほうが大きいでしょう。
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■