トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.85 効率的な動作のできる選手は、できない選手よりも速い
効率的な動作のできる選手は、できない選手よりも速い
■エコノミーは自動車の燃費効率と同じ
エコノミーとは、ある一定レベルでの動きの効率性のことです。余分な動きをせずに一定の運動を行うことができれば、それを効率的または経済的と言います。効率的な動作のできる選手が、できない選手よりも速い、ということ自体は、理にかなっています。しかし、それだけではありません。経済的な動きをする選手はストライドごと、あるいはストロークごとの筋肉の収縮が少ないため、一定の距離を移動するときに利用する酸素量が、経済的でない選手に比べ、少なくて済むのです。よって、マルチスポーツにおけるエコノミーは、「スイム、バイク、ランにおける酸素消費量」と定義づけることができます。
酸素消費量は、エネルギーの燃焼量を示す間接的な指標であり、エコノミーは動作との関連から見たエネルギー消費のものさし(自動車の燃費効率と同じ)ですので、1人の選手がさまざまな速度でどれだけの酸素を消費するかがわかれば、その選手のエコノミーがわかるのです。しかし、1つの種目のエネルギー燃焼効率は必ずしもほかの種目の燃焼効率と同じとは限りません。ランのときは小型の低燃費車でも、バイクでは「ガソリンをよく食う車」になってしまうことはあり得ます。
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■