トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.86 エコノミーがわずかに変化するだけで、パフォーマンスは劇的に変わる
エコノミーがわずかに変化するだけで、パフォーマンスは劇的に変わる
■レースが長くなるほど、エコノミーの意味が増す
選手は経済的であればあるほど、一定の運動強度で移動できる距離は長くなります。たとえば、現在1km5分ペースのランニングでの酸素消費が50ml/kg/分だったとします。しかしトレーニングをすることによってエコノミーが2%向上したとします。そうなると、キロ5分ペースのランニングを49ml/kg/分の酸素消費で行えることになり、楽に感じるようになります。もしくは、酸素消費が50ml/kg/分で同じだったとしても、ペースが4分54秒、つまり1kmあたり6秒速くなることになります。10kmのランニングに換算すれば、1分の記録更新になります。ですから、エコノミーがわずかに変化するだけで、パフォーマンスは劇的に変わるのです。
さらに、レースが長くなるほど、エコノミーの意味が増すことも付け加えなければなりません。スプリントディスタンスのレースではエネルギーを浪費しても、距離が短いため、何とか切り抜けることができます。「とにかく押し通す」ことができるからです。しかし、アイアンマンディスタンスでこのようなことはできません。エネルギー消費率の良し悪しは、自己ベストを出すか、DNF(途中棄権)に終わるかの分かれ道となることも多いからです。
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■