トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.88 テクニックの改造はプラスにならない? ~エコノミーの研究は、誤解を生む可能性のある方法で行われている~

【立ち読み版】2013年2月23日 01:28

テクニックの改造はプラスにならない? ~エコノミーの研究は、誤解を生む可能性のある方法で行われている~

■動作の変化がエコノミーに影響を与えかどうかは、何ヵ月か経たないとわかりない

上に挙げた条件のうち、最後のテクニックの微妙な差異については、さらに説明しなければなりません。スイム、バイク、ランのエリート選手は総じてエコノミーに優れています。したがって、自分の動作パターンを意識して改造し、エリート選手の動作パターンに似せれば、エネルギー利用効率が向上することもあります。しかし、科学研究が行われても、テクニックの改造はたいていプラスにならない、という結論に至ることがほとんどです。ただ、エコノミーの研究で行われるテストは、いずれも誤解を生む可能性のある方法で行われている、ということも知っておかなければなりません。被験者1つをとってもそうです。このような研究の被験者はほとんどが大学生です。つまり研究の期間は大学の学期の長さと同じにしなければならないということです。また、与えられたトレーニングをやり遂げようとする被験者のモチベーションでも結果は異なるでしょう。エコノミーに影響を与える可能性のある動作の変化に体が適応したかどうかは、何ヵ月か経たないと十分にはわかりません。なぜならば、神経系と筋肉の適応が時間をかけ多数発生して初めて、測定可能なまでに向上が顕著になるからです。このような適応期間の最初では、むしろエコノミーは悪化することもあります。

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■