トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.110 コーナリングの3 つの方法:リーン・ウィズ、リーン・アウト、リーン・イン
コーナリングの3 つの方法:リーン・ウィズ、リーン・アウト、リーン・イン
■コーナリング・テクニックが向上すれば、カーブの多いレースで大幅にタイムを縮めることができる
バイクの主要なテクニックには、ペダリングのほかにコーナリングがあります。コーナリングは安全性の面からも、パフォーマンスの面からも、重要なテクニックです。落車の原因として最も多いのが、稚拙なコーナリング・テクニックなのです。また、コーナリング・テクニックが向上すれば、カーブの多いレースでは大幅にタイムを縮めることもできます。
以下の図に示すように、コーナリングでのバイク操作には 3 つの方法があります。リーン・ウィズ、リーン・アウト、リーン・インです。
■リーン・ウィズ
リーン・ウィズは、コーナーの状況に関係なく、トライアスロンで最もよく使われるテクニックです。ただしどんな選手にとっても、障害物のない、乾いた路面で大きく弧を描くように曲がるときは、最適な方法です。米国などでは車と自転車が右側通行なので、左カーブのときに特に有用です。反対に車両が左側通行の国では、右カーブで好んで使われます。リーン・ウィズでは、自転車と体をコーナーに沿って傾け、体重は外側のペダルにかけます。大きく弧を描くようなカーブであれば、エアロポジションを保ち、ペダリングを続けられる場合もあります。
■リーン・アウト
これは、トライアスリートはほとんど使わないテクニックです。しかし、急なカーブでは非常に役立ちます。車両が右側通行の国では右カーブ、左側通行の国では左カーブで使うと効果的です。リーン・ウィズよりも急カーブをうまく曲がることができ、タイムを短縮することができます。
オートバイのカウンター・ステアリングを習ったことがあるでしょうか。リーン・アウトはそれと同じ要領です。カーブに入るときは必ずペダリングを止めます。リーン・ウィズよりも自転車の傾きが大きくなるためです。内側のペダルを上げて体重を外側のペダルにしっかりかけます。カーブの内側の腕はまっすぐ伸ばし、外側の腕の肘を曲げます。ここが違和感を覚えるところでしょう。弧を描くようなカーブを曲がるときとは反対側のハンドルバーを押し付けるので、逆に感じるかもしれません。しかし、この動作により、回転する車輪のジャイロ効果が阻害され、体をまっすぐに保ちながら自転車をカーブに合わせて鋭く倒せるようになるのです。これで急カーブも曲がりやすくなります。このテクニックを効果的に使うには、少なくとも 15mph(約 24km/h)の速度が必要です。当たり前のようにできるまでにはかなりの練習が必要です。
■リーン・イン
このテクニックは路面が濡れている時や、砂や砂利のある場所でのコーナリングで使用します。右左どちらのカーブでも、スピードを落とす必要があります。たとえば米国での右カーブ(日本での左カーブ)のような急カーブでは、ペダリングをストップしなくてはいけません。その目的は、転倒せずに安全にカーブを曲がることです。自転車をまっすぐにしたまま、体のみを傾けてカーブに入るのが正しい方法です。両膝はトップ・チューブ近くに寄せます。カーブでは膝を突き出さないようにしましょう。
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■