トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.125 1日の初めに、練習ができるかどうか適切に判断する方法

【立ち読み版】2013年2月23日 02:05

1日の初めに、練習ができるかどうか適切に判断する方法

■日誌をもとに、トレーニングを受け入れる態勢がどの程度できているか予測する

ベルリンの壁崩壊後、旧東独でオリンピック選手のトレーニングプログラムを管理していた担当者の1人が米国にわたり、旧東欧諸国の選手がしてきたことを明かしてくれました。彼らの成功には、どうやら禁止薬物が一役買っていたようですが、彼が語ったのは、選手一人ひとりに対する細やかなケアが、メダル獲得にいかに貢献したかということでした。選手の1日は専門の担当者が訪ねてくることから始まります。この担当者は、選手がトレーニングできる状態かどうか、素早く評価を下します。そのなかには医学的、心理的な評価も含まれ、コーチはそれを頼りにその日のトレーニング計画を調整するのです。このようにする目的は、選手に、その日に適切な練習だけをさせる、ということです。練習はそれ以上でも、以下でもないのです。

このように担当者が毎日来てくれたら、どんなにいいでしょう。しかし、このようなことはまずあり得ません。自分で判断が下せるようになるしかないのです。それには、1日の初めに、身体的、精神的な状態を評価するのも1つの方法です。毎朝起きたらその日の練習ができるかどうか、判断する材料はいくつもあります。問題は、アマチュア選手のほとんどがそれに耳を貸さないということです。

オーストラリアで行われた研究によると、日誌の記録事項次第で、このような判断材料に選手が注意を傾けるようになるようです。この研究では、睡眠の質、疲労、心理的ストレス、筋肉痛を、7段階で評価しました。1が一番よいコンディション、7が一番悪いコンディションです。このようにすると、トレーニングを受け入れる態勢がどの程度できているか、十分に予測できることがわかりました。すべては主観的に評価しますが、もし正直に点数をつけた結果、評価項目に5点、6点、7点というスコアがあれば、何かが間違っていることになりますので、その日のトレーニング負荷を考え直さなければなりません。3つ以上このようなスコアがついた日は、練習を休みます。

【日誌の記入見本】

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■