トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.136 日誌を活用して、同じパターンで問題が起きることを回避する
日誌を活用して、同じパターンで問題が起きることを回避する
■トレーニングの後退を引き起こした間違いを探す
トレーニングにトラブルはつきものですが、何らかの問題が起きたとき、トレーニングへの影響が最小限になるよう対策を講じ、できるだけ早く通常のトレーニングに戻るために最善を尽くすことが重要です。怪我、病気、オーバートレーニングは、マルチスポーツの選手に最も多い問題です。このような問題の原因の多くは、過剰なトレーニングとライフスタイルの組み合わせにあります。トレーニングの後退を引き起こした間違いがわかれば、同じパターンで問題が起きることもなくなります。
■ランニングの怪我予防
マルチスポーツの選手のなかには、怪我の処置が日常化している人もいます。ランニングは問題が再発しやすい種目です。しかし、過剰なトレーニングがいつも問題の原因であるとは限りません。怪我は、履き古したシューズや足に合わないシューズが関係していることも少なくないのです。最近のランニングシューズはきわめて専門的な設計になっており、ある特定の足の動きを抑えたり、逆にほかの動きを助長したりする機能を持っています。自分の足のバイオメカニクス上、構造上の特徴が、シューズの設計目的と違う場合、そのシューズを履くことにより怪我をする可能性もあります。どのシューズをどのように使ったか記録しておけば、シューズの扱いかたについて判断ができるようになります。たとえば、1足のランニングシューズで走った距離または時間を記録しておけば、怪我予防のため、いつ新しいシューズに履き替えるべきか、よくわかるようになります。
■自転車のセッティング
同様に、自転車のセッティング、特にサドル位置の変更を記録しておくと、数週間経って膝が痛み出したときに、その記録が役立つこともあります。もしかしたら数週間前のサドル位置の変更が問題の原因かもしれません。サドルの高さ、前後位置をどの程度変えたか?過去、その位置にセッティングしたとき、膝に同じような症状があったか?もしくは、トレーニングを一部変更したか?たとえばヒル・クライムを多くしたり、ギアを重くしたりしたことが原因であることも考えられます。
■面倒くさい質問への答えが見つかることも
なかには、とにかく面倒くさい質問もあります。筋力など特定の能力向上のためのトレーニングを十分行ったか?練習の合間に十分回復の時間をとっているか?どの順番で練習をすると一番効果があるか?有効だと思うテーパリングの方法はどれか? 2年前の同じレースではどのようなことをしたか?
このような問いでも、最近数年間の日誌を見返すことで答えが見つかり、トレーニングの新しい方向が見えてくることは多いものです。
【日誌の記入見本】
※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■