ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト【立ち読み版】vol.25 燃料としての糖質(9) 乳酸と水素イオンの蓄積の影響

【立ち読み版】2013年3月29日 06:30

乳酸と水素イオンの蓄積の影響

■「筋肉が焼けつくような感覚」の原因は水素イオンとの示唆

重要なのは、糖質を燃やすと、血液中になんらかの副産物が流れ込み、結果として筋肉収縮が妨げられ、動作が遅くなる可能性があるという点です。

これらの副産物の1つとして考えられているのが、水素イオンです。研究によって、この水素イオンが、急な坂を高速で上るときや、タイムトライアルで全力疾走するとき、時速50キロ程度で逃げを追走するときなどに感じる「筋肉が焼けつくような感覚」の原因であることが示唆されています。

■乳酸と水素イオンの蓄積の影響

糖質をすぐに使い果たしてしまい、副産物を素早く処理するように身体が訓練されていなければ、乳酸と水素イオンが血中に蓄積していきます。この状態でさらに激しい運動を続けようとすると、息が上がり、筋収縮も続けられなくなり、最終的にペースを落とさざるを得なくなります。

長い坂を全力で上った経験がある人なら、まず確実にこの状態に陥ったことがあるはずです。

 

※この記事は、『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『BASE BUILDING for CYCLISTS』トーマス・チャップル著・velopress)の立ち読み版です。『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』を下敷きにした、1年のなかでも最も重要でありながら、最も理解されにくい時期でもある「基礎期(ベーストレーニング期)」に、どのようにトレーニングすべきかを詳しく掘り下げた好著です。■