ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト【立ち読み版】vol.41 ベーストレーニングで重点的に鍛える領域

【立ち読み版】2013年4月22日 06:32

ベーストレーニングで重点的に鍛える領域

■筋肉や有限のエネルギーの活用方法も重要

サイクリングなどの持久系スポーツのアスリートにとって、体内に酸素を供給し、使用する能力はパフォーマンスを制限する要素になります。しかし、筋肉や、有限のエネルギーを「どのように」「いつ」使うかも、どれだけ速く、遠くに行けるかに大きく影響します。

■ベーストレーニングで重点的に鍛える領域

ベーストレーニングでは、以下の領域を重点的に鍛えていきます。

  • 心拍出量(1分間に心臓が送り出せる血液量の量)を高め、酸素を豊富に含んだ血液を体内に多く循環させる
    これは、心臓が1回の心拍ごとに送り出せる血液量に影響します。安静時の心拍数が低くなると、1回の鼓動で血液を送り出す量が増えていることを示します。
  • 毛細血管の数を増やし、運動中の筋肉への血流を増加させる
    微細な血管は、酸素を豊富に含んだ血液を筋肉繊維に行き渡らせ、エネルギー代謝によって生じた副産物を運動中の筋肉から取り除くのに役立ちます。毛細血管が増えるほど、運動中の筋肉の有酸素運動能力は向上します。
  • 好気性酵素のレベルを上げ、エネルギー源を有酸素エネルギーに変換しやすくする
  • 乳酸などの、代謝の副産物を処理する能力を高める
    乳酸は、再びエネルギー源にすることも、心臓などの器官の直接的な燃料にすることもできます。代謝副産物を効果的に処理できるようになると、これらの副産物が血中に蓄積するスピードは遅くなり、乳酸が体内を速やかに循環するようになります。
  • ミトコンドリアのサイズと数を増加させる
    ミトコンドリアは、エネルギー源を有酸素エネルギーに変換する、筋肉内の小さな工場とも呼べる機能を担います。ミトコンドリアのサイズと数が大きくなるほどメリットも増えます。
  • 血液量を増加させる
  • 筋繊維をより多く動員して、大きな力を生みだせるようにする
  • 筋肉を効率よく動かす
    筋肉の使い方を改善し、より少ないエネルギーで走行できるようにする。

 

※この記事は、『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『BASE BUILDING for CYCLISTS』トーマス・チャップル著・velopress)の立ち読み版です。『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』を下敷きにした、1年のなかでも最も重要でありながら、最も理解されにくい時期でもある「基礎期(ベーストレーニング期)」に、どのようにトレーニングすべきかを詳しく掘り下げた好著です。■