ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト【立ち読み版】vol.48 「速く走るためには、ゆっくり走らなければならない」という考えの核心

【立ち読み版】2013年5月1日 09:33

「速く走るためには、ゆっくり走らなければならない」という考えの核心

■アスリートが犯しやすい過ち

アスリートが犯しやすい過ちは、無酸素系のトレーニングに多くの時間を費やし、有酸素系のトレーニングをおろそかにしてしまうことです。「速くなるためには、常に速く、ハードに練習すべきだ」という考えは誤解を招きます。

■「速く走るためには、ゆっくり走らなければならない」という考えの核心

無酸素システムの基盤となるのは有酸素システムであり、有酸素のベースフィットネスの強さと質に依存します。つまり、私たちは毎年、ベースビルディングの時期に、フィットネスの限界を新たなレベルに引き上げるチャンスを得ているのです。

有酸素のベースフィットネスの深さと質が、フィットネスの上限をどれだけ引き上げられるか、そしてそれをどれだけ維持できるかを決めます。これが、「速く走るためには、ゆっくり走らなければならない」という考えの核心です。

■あらゆる運動強度で、有酸素系の貢献比率を高める

対象の筋肉収縮のために必要なエネルギー(ATP)を、2つのエネルギー系が生産する比率は、何が燃料として使われているか、どのエネルギー系がどのように燃料をエネルギーに変換しているかによって決まります。ベーストレーニングの目標は、あらゆるレベルの運動強度で、有酸素系がエネルギー生産に貢献する比率を高めていくことです。

 

※この記事は、『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『BASE BUILDING for CYCLISTS』トーマス・チャップル著・velopress)の立ち読み版です。『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』を下敷きにした、1年のなかでも最も重要でありながら、最も理解されにくい時期でもある「基礎期(ベーストレーニング期)」に、どのようにトレーニングすべきかを詳しく掘り下げた好著です。■