ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト【立ち読み版】vol.67 絶対筋力と相対筋力(2) クライマーが重視すべきものとスプリンターが重視すべきもの
絶対筋力と相対筋力(2) クライマーが重視すべきものとスプリンターが重視すべきもの
■筋線維の肥大によるトレードオフの関係
筋繊維が肥大すると、通常は多くの力を生み出せるようになります。ただし、多くの力を生み出せる能力と、筋繊維の肥大によって増加する体重の間には、トレード・オフの関係があります。
■クライマーが重視すべきものとスプリンターが重視すべきもの
これは、クライマーの筋肉量が少なく、スプリンターの筋肉量が多い大きな理由です。
スプリンターには、ヒルクライムの能力ではなく、できる限り大きな力を生み出す能力が必要です。一方、クライマーは相対筋力を重視しなければなりません。
スプリンターは短時間(5~20秒)での相対パワーに、クライマーは長時間(20~60分)の相対パワーに優れています。
■クライマーでも筋肉量が増えることでパワー・ウェイト・レシオが向上する場合がある
これは、クライマーになるためには、できるだけ体重を軽くするために、筋肉量を減らした方がよいということではありません。
それとはむしろ逆に、筋肉量が1~2ポンド(約0.45~0.91kg)増えても、パワー出力が体重増加に勝ることで、パワー・ウェイト・レシオ(W/kg)、すなわち相対パワー出力が増加するというケースもよくあります。
12章では、筋力を発達させる方法について詳しく見ていきます。
※この記事は、『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『BASE BUILDING for CYCLISTS』トーマス・チャップル著・velopress)の立ち読み版です。『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』を下敷きにした、1年のなかでも最も重要でありながら、最も理解されにくい時期でもある「基礎期(ベーストレーニング期)」に、どのようにトレーニングすべきかを詳しく掘り下げた好著です。■